File #4 記念撮影

 O氏の事ばかりで申し訳ないが、同じく印象に残るのはこの事件だろう。これも岡山に在学中に起きた事件で、その当時O氏は時折神戸に帰ってきていたが、その足はほとんど車であった。私の記憶では車の他に、原動機付き自転車で帰って来たことが一度、いや二度あったと記憶しているが、車を得てからはほとんど車を使用していたように思う。

 その日もO氏は、車で岡山から神戸に帰る途中であり、夜ということもあって道路は空いていた。また、2代目インテグラとなってからは、V-TECエンジンを搭載している事もあって、何気にO氏はアクセルを踏み込む癖がつき、速度は超過気味であった。
 岡山からの帰り道は、国道2号線を東へ向かうルートと、山陽道から帰るルートとがあるが、その日は深夜で交通量が少ないと思われる為、国道2号線を東へ向かうルートをとった。岡山から東へ備前、相生と辿り、竜野から竜野バイパスへと乗り入れた。バイパスは時間帯もあって交通量は少なく、また深夜であるために思考力も低下し、無意識の内にアクセルを踏んでしまうのは、仕方のないことであった。
 O氏が竜野バイパスから姫路バイパスを通過し、加古川バイパスへと入った頃には、速度計は120〜130kmを指していた。また罠に誘い込むように、竜野バイパスから姫路バイパス、加古川バイパスへと道路の舗装が良くなっていった。
 そして道路脇の距離標識が70kmを過ぎた頃、O氏の目に赤い閃光が走った。
 「しまった、記念撮影か!?目ぇつぶったかもしれへん。」
と言ったかどうかは定かではないが、目に残る赤い残像にしばらく声が出なかったという。状況が把握できるまでに、どれほどの時間がかかっただろうか。しかし、O氏が最終的に状況を把握できたのは、更に後になってからであった。
 後日出頭命令書が届き、簡易裁判で長期の免許停止と、約9万円の罰金を言い渡されたという。しかも、かなり事務的に・・・。O氏の財政が破綻したのは言うまでない。